よりよい川・湖の未来に向けて

よりよい川・湖の未来に向けて
守山のエルセンターで行われた「第7回川づくりフォーラム」
に行ってきました。今回のテーマは、「よりよい川・湖の未来
に向けて」。NPOびわこ豊穣の郷と、守山市・滋賀県との共
催で、COP10パートナーシップ事業でした。



●基調講演・・・
基調講演として、滋賀県琵琶湖環境科学研究センターの西
野麻知子さんから「琵琶湖の生物多様性の復元に向けて―
西の湖の事例から」と題したお話しを聞きました。

●琵琶湖の水質は・・・
まず、琵琶湖の水質の状況について、1970年代後半以降
「せっけん運動」をはじめとした県民による環境運動や、県の
政策による生活排水、農業排水、工場排水対策など、様々
な取り組みにより、水の透明度や全窒素、全りんの状況から
「富栄養化の進行はほぼストップ」*1しているという報告がありました。

●生物多様性って何?
今年秋に名古屋でCOP10(生物多様性条約締約国会議)
が開催されるということで、新春くらいからテレビや新聞など
でも話題になっている「生物多様性」ってなんのことでしょうか?

西野さんからは、進化の過程で作りだされた種そのものに
固有の価値があること、また、生態系から人間がうける恩恵
(食べ物や水、医薬品などの材料や、気候・洪水の制御、ま
た心の癒しや芸術の源泉など文化的な側面)があることなど
が紹介されました。

●世界に34あるホットな地域のうちの1つ・・・
ちなみに、世界の中には、とりわけ生物多様性が豊かで、か
つ、絶滅危惧種が多く生息し、危機にひんしている地域を、
34のホットスポットとして指定されているそです。そして、ここ
日本も、日本列島まるごと、そのひとつとして指定されている
そうです!!
(そのほかの大部分は、熱帯に位置していることが多いそう
で、森林であるところが多いそうです)

●世界に約20ある古代湖のひとつ・・・
また、琵琶湖は世界に約20あるとされる古代湖(10万年以上
前からあるもの)のひとつで、「生物多様性が豊かで、固有種
が多い。」というのが特徴だそうです。

その後、琵琶湖の水位変化と生態系変化のデータや、琵琶
湖と、内湖にあるヨシ帯を利用する琵琶湖の魚類の数、琵琶
湖の湖岸景観によって、水位変動の影響を強く受ける場合が
あること、等々、専門的なお話しをおうかがいしました。

●琵琶湖の生態系に生じている現象・・・
琵琶湖全体では在来生物の減少(特に、魚類、貝類)があり、
浅い水面面積減少、湖岸堤などの物理的改変により、すみ場
の破壊や減少があり、移動経路の分断などがその原因として
あるそうです。

また、よく知られているように、バスやブルーギル等の増加や、
南湖における水草の繁茂があります。その他、一昨年に大き
く報道された北湖における深い湖底の酸素濃度の低下(琵琶
湖の深呼吸が浅くなっているため)などもあるそうです。

●フナやモロコなどを守るために・・・
在来魚の減少は、河川改修などの地形改変、ほ場整備等に
よる移動経路の分断、冠水頻度の低下、外来魚の増加、二枚
貝類の減少があり、そうした要因をひとつひとつとりのぞいてい
くことが対策になるそうです。

●ゆりかご水田
琵琶湖や内湖と、水田との移動経路が分断されたきましたが、
それに対して、近年、魚が遡上できるような魚道をつくる取り
組み(ゆりかご水田プロジェクト)が始まっています。魚類の移
動経路、水系ネットワークの回復は重要だそうです。

●ふな等の「逃げ場」をつくる
ヨシ帯のうち、ふな類の稚魚が生息する「底が浅いエリア」に
はバスやギルははいってこないそうです。そうした逃げ場を
つくることが、生存にとって大切だそうです。(底が浅いため
に、数十センチ程度であっても、水位変動の影響を大きくう
けるそうです)

●外来魚の徹底駆除
湖北にある野田沼でのモデル事業の結果、7割以上の外来
魚を、4年以上にわたって駆除しつづけることで、比較的大き
な効果がでることがわかってきたそうです。

●西の湖にみる「水郷」のはたす意味
また、琵琶湖の内湖のひとつ「西の湖」をフィールドにした調
査の結果、コイ等と、バス等が生息している場所の違いがあ
り、西の湖本湖から遠い水路状のエリアなどには、コイ等が
多いのに比べ、バス等は少なかったそうです。

それらは、西の湖と長命寺川とがつながっているあたりから
北の庄沢方面へとつづく、ヨシ帯が多くのこる水路状の一帯
にあたり、「近江八幡の水郷」として、2006年に国の重要文
化的景観に指定されたエリアにぴたりと重なります。

その特徴は、古くからの景観がのこることが示すように、人為
的な地形改変が少なく(土地利用と湖岸線が昔のまま)、また
ヨシ刈など人の手がはいってきたエリアと言えます。

西野さんのお話しを聞いていて、一見、関連することのなさそう
な、生物多様性というとテーマと、文化的景観というテーマとが
つながってくるのが面白いなと感じました。



●パネル展示発表

16のテーマで、パネル展示がありました。「日々の暮らしの中
で、自然環境とのつながりを意識する」というテーマで、碧いび
わ湖もパネル展示させてもらいました。

その他、「市民が描いた琵琶湖流域の将来像」や、「エコツーリ
ズムプロジェクト~キャンパスにホタルを飛ばそう」、「難分解性
有機物の生分解試験に及ぼす共存物質の影響」等々、さまざま
な展示がありました。

その中のひとつ「これから行動隊」という60歳以上のシニアが中
心グループによる「自然市民農園」の取り組みは、強く共感しま
した(旧環境生協の組合員さんも多く参加されています)



さらに、後半は、壇上からの活動発表として、5人の方々が、さま
ざまな取り組みを発表されました。

その中では、守山幼稚園の「地域教材ホタルを取り上げた幼児教
育の実践」のお話しがとてもあたたかく、すてきな内容でした~。
また、豊穣の郷の会員2名による報告も興味深く、お聞きしました。



午後1時から5時およぶ長時間のフォーラムでしたが、たいへん多
くの方々が会場を埋め(多くはシニア世代)、身近な河川環境の保
全にボランティアで取り組まれる方々の熱気につつまれていました。


*1 ただし、近年、琵琶湖の水質をみる指標のうちBODの数
  値と、CODの数値の動きに乖離がおきているそうで、これ
  については、まだ原因が解明されていないそうです。
  「湖中になんらかの難分解性の物質が堆積されつつあるの
  ではないか?」という見方もあります。







写真レポート)どっぽ村「暮らしの扉」2014
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滋賀と京都の春風つながり市(携帯画像)
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フォト・レポート「たねまきびとのカフェ&マルシェ」
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