木製サッシ体験記

木製サッシ体験記

あまいろだよりに寄稿いただいた、喜多亮夫さんによる木製サッシ体験記です。

木製サッシ体験記 1
あまいろだより10号(2012年3月)掲載

 碧いびわ湖のリフォーム事業で扱われている「ペアガラス木製サッシ」の内窓を我が家に導入したので簡単に報告します。
 木製サッシにする動機は、大きくわければデザイン的なものと機能的なものとの二つになるだろうと思います。
 うちの場合はまずデザイン的な動機が最初にありました。住みながら自分好みの家にリフォームしていくつもりで中古の家を購入したときから、部屋にいると周辺 視野にいやがおうでも入ってくる無機質なアルミサッシの見た目があまり好きになれなくて、自分で窓をとりかえることはできなくても、アルミサッシが部屋の 中から見えないように内側に木製の枠をつけるくらいできないものか、と考えていたのです。
 もうひとつの機能的な面としては、冬場の結露の問題です。
 うちのリビングのとくに東面と北面の窓は、太陽が低くなって日差しがほとんどはいらなくなる冬場の結露がひどいのです。室内の湿った温かい空気が、冷えた窓 ガラスとアルミサッシに接触するのが結露の原因なので、内側に木製サッシを入れて二重にすることで多少は改善するはずです。
 そんな動機がありながら、なかなか手をつけられないでいたときに、一昨年の碧いびわ湖企画「どっぽ村見学ツアー」に参加し、清水さんのペアガラス木製サッシをみて、「これだ」と思ってようやく今年お願いすることができたというのがことの経緯です。
 使い始めてからまだ冬しか季節が巡っていないので評価を下すのは早計ですが、すくなくとも当初の2つの目的(アルミサッシを視界から隠し結露を止める)については十分果たすことができました。
 いちばんうれしかったのは見た目の美しさというか柔らかさです。
 窓の表情がガラリとかわる。
 木はアルミに比べると剛性が劣るので、木製サッシの幅がより大きめになるおかげでアルミサッシがすっかり隠れて、部屋の中からみるとまるで木製サッシしかないように見えます。窓枠をアルミサッシから無垢の木製サッシに替えることで、ことによると床材を無垢材に張り替えるくらいの印象の変化があるのではないか と、思えるくらいです。
 もちろん新しくつけたばかりだから意識がそちらにいくということもあるでしょうけれど、それにしても思った以上に窓枠というのは無意識のうちに周辺視野に 入ってくるものなのだなあと、改めて感じました。昼間などはガラスから光が入ってくるし夜は逆に暗く光を反射するしで、視野の中での明暗コントラストの分 かれ目が窓枠のところにできやすいためかもしれません。
 断熱性や遮音性などの機能面だけほしい人であれば樹脂サッシでも同じような効果が得られますしそちらの方が安いのでむしろそちらをおすすめしますが、それ以上に木のぬくもりで部屋の印象を変えたい人にこそ木製サッシはうってつけだろうと思います。

木製サッシ体験記
木製サッシ取付前
  ↓
木製サッシ体験記
木製サッシ取付後

木製サッシ体験記 2
あまいろだより11号(2012年6月)掲載

 前回紹介しました「木製サッシ」のつづき、今回はその材質についてです。
 我が家につけた木製サッシの材質は国産材としてもっとも流通しており価格も手頃な「杉」ですが、今回施工をしていただいたエコワークスの清水さんの話によると、材料の価格をさらに抑えるために建具材として使われることを想定されていない二束三文の材木を市場で探してきてそこから木製サッシに使えそうな材を選り分けて建具に加工したそうです。
 そのため、小さな節があったり色むらがあったり木目が曲がっているところもあるのであらかじめ了承してください、ということでした。

 節や木目は好みの問題だけど個人的には自然素材はそんなものと割り切れば気にならないし、色むらは年月が経てば同じような色に落ち着いてくるそうです。
 また、節もなく木目が真っ直ぐ通った材にくらべて多少あとで歪みが生じることがあるかもしれないけれど、敷居の溝をすべる滑車の高さが簡単にネジで調整できるようになっていて多少斜めに歪んでも調整できるし、当たりの面にはゴムが入っていてここでも多少のスキマには追従するようになっています。
 一般的に建具に使われるのは、杉材でも芯に近い赤い部分で木目が真っ直ぐ通っていて節がない部分というのが一般的らしいです。加工がしやすく歪みも少なく収 縮も小さい…そんな加工する側のニーズと、あとあとガタピシくるのは実際問題として困るし節や色むらがなく一様な材の方が見栄えもいいとする施主側のニー ズがあるからでしょう。思い起こしてみても確かに障子で節があったり白い部分がまざっているところなんてそうそうお目にかかったことがありません。

 ことによると、節があったり赤白混じっているところは敬遠されるだろうということで、材木屋さんの方もはじめからそんな半端な材は商品価値が低いとして一束 三文で売りたたき、建具屋さんには上等の部分だけが売られていく。それが当たり前になってくると、建具屋さんの方でも赤白混じったのやちょっと節の残った ところなんかは使わないのが当たり前になってしまう。そうして施主が選択できるのは赤い部分で木目が真っ直ぐ通っていて節がない部分ということになってし まう。もちろん材料費は比較的高いものにならざるをえない。そして大きな流れとしては施主にはそれしか選択肢がないという状況になってしまっているのではないだろうか?
 たしかに木製サッシが敷居の溝に音もなく平行に滑って柱に真っ直ぐ当たる技術 というのはそれはそれですごいのだけど、そのために節もなく木目の通った収縮の小さい赤い部分だけしか使わない、という設計思想もそれはそれでありなんだけど、作る方も売る方も買う方も世の中が「それしか選択肢がない」という状況になっているとしたら、それはそれで窮屈なのではないか?

 というのは半分は想像ですが、よかれと思ってそのつど考えてやっていたことが、いつのまにか当たり前に固定化されて、環境状況の変化や多様な価値観についていけなくなることが、大きな流れが出来上がってしまっているところにはよくあることですね。
 そんなことなどを考えさせられました。

(喜多亮夫)





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