滋賀県流域治水シンポで雨水活用の事例発表とコーディネータを務めさせていただきました。

こんにちは。村上です。

去る2月15日(日)、大津で開催された第8回流域治水シンポジウムにて、滋賀での事例報告と、パネルディスカッションのコーディネータを務めさせていただきました。

滋賀県流域治水シンポ

※滋賀県のHPにも開催報告が掲載されています。
「第8回 流域治水シンポジウム」(県HP)
 各講演のプレゼンテーションファイルも掲載されています。

シンポジウムでは、昨年に策定された滋賀県流域治水条例4つの柱の一つである「ためる」対策をテーマに、全国の動向、福岡県(樋井川流域)と世田谷区(世田谷ダム)の取り組み、滋賀での状況を学びあったあと、「雨水の貯留浸透の推進のための必要な多様な主体の連携をどう進めるか」をテーマに、パネルディスカッションをおこないました。

滋賀県流域治水シンポで雨水活用の事例発表とコーディネータを務めさせていただきました。

特に樋井川流域での取り組みについては、40回以上続けられている流域治水会議の歩みを軸に、家庭での雨水タンクの無料設置、地域での環境学習、雨水ハウスの建設、雨水貯留機能を備えたスマートスクールの建設、集合住宅での雨水貯留浸透(萩浦ガーデンサバーブ)など、さまざまな具体事例をお伺いしました。

滋賀県流域治水シンポで雨水活用の事例発表とコーディネータを務めさせていただきました。

講師のみなさんからは

「降雨災害を”抑制する”視点だけでの雨水貯留から、ためた雨水を”活用する"視点をあわせもった雨水貯留への意識改革が大切」(屋井裕幸さん・公益社団法人雨水貯留浸透技術協会

「流域治水は、水循環の健全化を市民主体ですすめること。市民主体が重要」(山下三平さん・九州産業大学教授

楽しむこと、身近にすること、子どもへのアプローチが大切」(角銅久美子さん・樋井川流域治水市民会議代表

などの示唆に富んだメッセージをいただきました。

(※なおこの記事内で「」で囲んでいる発言部分は、あくまで私の記憶から書き起こしたものですので、ご本人が発言された文言とは異なっております。予めご了承ください)



続いて私からは、滋賀での事例を元に

「身近なものを大切に活かすことで、大規模、使い捨て、依存型の今の暮らしから、小規模、循環、自立型の暮らしへの転換を進めていきたい」

雨水は洗濯に最高

「雨水活用は子どもたちの意識変革につながる」

地域コミュニティでの防災、緑化、環境などの取り組みの中に位置づけていくのがよい」

「普及のための課題を克服していくためには、市民、NPO、事業者、研究者、行政などの多様な主体の継続的な交流と、行政施策の総合化が重要」

ということをお話させていただきました。
発表要旨:
滋賀県流域治水シンポで雨水活用の事例発表とコーディネータを務めさせていただきました。


プレゼンテーション
滋賀県流域治水シンポで雨水活用の事例発表とコーディネータを務めさせていただきました。




続いてのパネルディスカッションでは、下記のようなやりとりが、印象に残りました。

滋賀県流域治水シンポで雨水活用の事例発表とコーディネータを務めさせていただきました。

村上「樋井川流域治水市民会議はすでに40回を数え、活動が深まっている。市民、NPO、事業者、行政をつなぐ上で研究者が果たしている役割が大きいと感じる。最初は住民の方から研究者や行政を叱責するような言葉もあったけれど、それもじっと耐えて関係を築いてこられた、とお伺いしたが、そこまでの思いをしながらでも、なぜ参画をしてくださっているのか。」
山下「研究者として、という意識ではなく、同じ人間として、という意識で参加している。市民会議は7人の世話人会から始まったが、皆、立場や枠を超えてつながっている。また私の仲間の研究者は、これからの研究は地域の中に入ってやっていかないといけないと考えている。」

村上「事業者である大建さんは何がきっかけで樋井川流域治水市民会議に関わるようになったのか。」
松尾「金融機関の方が大学の先生を紹介してくださった。産・官・学に加えて"金"(金融機関)の連携も重要だと思う」

村上「世田谷でも、行政と市民(崖線みどりの絆・せたがや)の連携がうまくいっているように見受けられるが、それはなぜか。」
屋井「世田谷ではもともと、野川という川をよくしたいという市民の集まりがあり、それが"世田谷ダム構想"の担い手になっている。他の地域でも、川をよくするという活動が元になって雨水の貯留浸透の取り組みが進んでいる場合が多い」

 (※世田谷での取り組みについては下記記事が参考になります
「湧水保全と雨水活用の活動(東京都世田谷区成城)」(Webあまみず)




パネルディスカッションの途中には、三日月知事もお越しくださり「雨水利用推進法は、国会議員時代のいちばん最後に、水循環基本法と共に成立させた法律として思い入れがある。少子高齢化が危機だと言われるが、これからはむしろ高度経済成長期に失ってきたものを取り戻していく時代だと思う。"流域治水"は、"遠くなった川"を近くに取り戻していくこと。滋賀から新しい豊かさを発信していきたい」とのコメントを寄せていただきました。

これに対して九州産業大学の山下先生は「流域治水は、失われた水文化を取り戻していくことでもある」と応じてくださり、雨水貯留浸透技術協会の屋井さんは「滋賀には琵琶湖という大きな雨水タンクがある。琵琶湖を水ガメと言うのは必ずしもふさわしくはないだろうが、その例えを使うなら、大きな"親ガメ"がある滋賀で、あえて"小ガメ"を増やしていくことで発信されるメッセージはとても大きい」とエールをいただきました。

このシンポジウムであらためて感じたことは、まず「水は、立場や地域を超えてつながることができる、万人共通の関心事。」ということでした。
そして「雨水をためる、ということは、単に治水効果を高めること以上に、人々の雨への関心を高めること、失われた水文化を取り戻すことに役立つ」ということも、改めて認識できました。

そんな思いを込め、私から「雨水を ためて育てる 治水の心」の一句を投じて、このパネルディスカッションを閉じました。

滋賀県流域治水シンポで雨水活用の事例発表とコーディネータを務めさせていただきました。

そしてさいごは、樋井川流域治水市民会議のみなさんが地域で歌い踊られている雨水ダンス(「あめあめふれふれ」の替え歌」)をみんなで歌い、踊り、にぎやかに、にこやかに、シンポジウムを終えました。

***

「雨水の利用の推進に関する法律」に基づき、現在、国はその基本方針を策定中です。これを受け、今後はでさらに「方針」を、そして市町では「計画」を立てることとなっています。

私としては、この日お集まりくださったいろいろな立場のみなさんと、立場を超えた"人間"同士としてのご縁をさらに育みながら、身近な自然とつながる暮らし・住まい・地域づくりの一環として、滋賀県内での雨水貯留浸透の普及とそのための公共施策づくりの一端を担って参りたいと思います。

学習会への講師派遣などにも応じさせていただきます。地域防災や緑化にご関心のある方、環境学習に関心のある親御さんや教育者の方、雨水を活用した建築やまちづくりにご関心のある建築・土木業者の方、そして、防災・環境・福祉・教育などの分野に取り組まれているNPO・行政・議員の方など、雨水活用にご関心のある方は、ぜひお気軽にご連絡下さい。

↓ 碧いびわ湖の雨水活用について、詳しくはこちらをご覧ください。
「はじめよう!雨水活用」
http://aoibiwako.shiga-saku.net/e457729.html




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2015年03月06日 Posted byaoibiwako at 15:54 │Comments(0)★雨水タンクのある暮らし

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