「全国牛乳パックの再利用を考える連絡会 30周年記念集会」に参加して

aoibiwako

2015年10月31日 23:34



こんにちは。村上です。去る10月15日(木)、中野サンプラザにて開催された「全国牛乳パックの再利用を考える連絡会 30周年記念集会」に、パネラーとして参加させていただきました。

全国牛乳パックの再利用を考える連絡会、通称、「全国パック連」は、1985年に設立され、牛乳パックのリサイクルを築きあげてこられた団体で、初代代表の平井初美さん亡きあと、娘の成子(せいこ)さんが跡を継いで、活動を続けていらっしゃいます。



集ったのは、同会のメンバーをはじめ、市民団体、福祉団体、乳業者、パックメーカー、再生紙製品メーカー、さらにはお笑い芸人の方、そして韓国の酪農関係者の方まで、さまざま。
関西ミルクロードの会の仲間からも、みんなの労働文化センターの永岡美紀さんと息子の亮さん、紙好き交流センター麦の会の奥上陽一さんと河田里江さんが参加されました。



パネルディスカッションでは、平井代表の進行のもと、パック連の創設から支えてこられた「株式会社大地を守る会」の藤田和芳氏、「中部リサイクル運動市民の会」の萩原喜之氏、「株式会社ダイナックス都市環境研究所」の山本耕平氏の大先輩お三方と並んで、私も、滋賀&関西での牛乳パックリサイクルの過去、現在、そしてこれからについて、お話をさせていただきました。

また、集会後に引き続き開催された「30周年を祝う会」でも、多様な方々が登壇され、パックリサイクルの草創期の思い出からこれからへの思いまで、さまざまなお話を聞かせていただくことができました。
また、スライドショーもあり、この30年の取組の歩みを、拝見することができました。



この一日を通じて、初めて知ったこと、改めて感じたことが、いろいろとありました。ここに、書き残しておきたいと思います。



1.生活者実感に基づいた「生き方」の共感が大きな変革を起こす

牛乳パックのリサイクルは、山梨県大月市の子育てグループ「たんぽぽ」のお母さんたちの「"もったいない"の心を子どもたちに伝えたい」との思いで始まったそうです。
その思いが、製紙メーカーと回収業者を動かして回収ルートを築き上げ、今や、「当たり前」のこととして社会に定着し、世界にも類を見ない先進的なリサイクルルートが構築されました。

こうした社会的な変革(イノベーション)が実現できた理由は、生活者が出発点である、ということ、そして「"もったいない"の心を子どもたちに伝えたい」という、利害を超えた、生き方、暮らし方の共感によって始まり、広まったからである、ということが皆様のお話から改めて実感できました。

事業者側の都合や、行政側の都合ではなく、市民の自発的な取り組みだったからこそ、これだけの人々の、利害を超えた協力が得られてきたのだ、ということが。

私たち碧いびわ湖の事業・活動も引き続き、「生活者が主体的に行動する」ことを変わらぬ原点とし、「多様な人々が力をあわせる」「身近な自然・身近な人とのつながりを大切にした暮らしをつくる」の構築を着実に進めていきたいと思いました。



2.「事業」が活動の継続を支える

市民の活動であるパック連の活動を当初から支えてきたのは、大地を守る会やグリーンコープといった、安全・安心の食の事業を担ってきた事業体です。2000年頃からは、乳業メーカーやパックメーカーによって設立された容環協(全国牛乳容器環境協議会)がパック連の各種事業を協賛することで、パック連が安定的な活動が可能となっており、逆に容環協の活動をパック連がサポートすることで、容環協の活動の質を高めることができています。
このように、市民活動を持続的に支えていくためには、一定の事業体の存在が必要であることも、改めて実感しました。

一方で、今回の会合には、残念ながら市民団体の参加が少なかったのも、印象的でした。関西ミルクロードの会に参画している私たちのほうが、開催地に近い関東うよりも多いくらいで。
関西ミルクロードの会に参画している団体の多くは小さな団体ばかりで、私たちを除いての多くは福祉作業所ですが、スーパー、古紙業者さんや再生紙メーカーとの連携のもと、牛乳パックの回収と再生品の供給の「事業」を担っています。
だから、環境学習の実践や設備投資などの活動を持続することができているのですが、「運動」だけで取り組んできた団体は、担い手の高齢化や社会的関心の低下にともなって、徐々に活動が低迷してしまっているのではないかと思いました。

運動を支え、次の展開をしていくためには、活動を基点として「事業」を作り上げることが大切だと、改めて感じました。



3.「地域」での連携で次の展開を

牛乳パックリサイクルには、「再生率がなかなか増えない(使用済み紙パック再生率は現在、35%くらいで横ばい)」(出展:容環協HPより、「再生品のシェアがなかなかのびない(ティシュでは再生品のシェアは5~6%)」(出展:グリーン購入ガイドライン「ティシュペーパー」※PDF より)などの課題があります。
一方で「子どもたちの環境学習として、とてもわかりやすい(リサイクルが実感しやすい)」「多様な人々がつながる機会になる」などの、特有の良さがあります。
その価値に今いちど光を当てなおしていけば、「命あるものを大切にする心を受け継ぐ」「顔の見える経済、つながりが実感できる暮らし(知産知消)をつくる」「多様な人々が立場を超えてつながりあう」などを進めていくための一つの入り口として、もっと活かしていけるのではないかと感じました。
実際、東近江市では小学校などでの環境学習で、おかえりティシュを活用いただいていますし、今回の会合にも相模原市から市の担当者が来られて、地域で取り組まれている牛乳パックリサイクルの環境学習の取り組みなどについて報告をしてくださいました。
こうした点に目を当てて、滋賀県内でも、基礎自治体との関係も深めながら、これまで培ってきた、多様な民間のネットワークを活かした展開を図っていきたい、と思いました。

以上、この日のご報告でした。

なお、私たちの回収先へパックを出していただくことと、「おかえりティシュ」「ただいまロール」のご購入が、碧いびわ湖と関西ミルクロードの会の活動を支えていただく力となります。すでに回収へのご協力、共同購入への参画にご協力いただいている皆様には、引きつづきご参画いただければ幸いです。とともに、この記事で関心を持ってくださった方には、ぜひ新たにご参画いただければ誠に幸いです。

以上、長文にお目通しいただき、ありがとうございました!

集めて使おう、「ただいまロール」と「おかえりティシュ」
http://aoibiwako.shiga-saku.net/e461247.html

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